桜色の海に恋は沈みて

物思いに耽ることは海に潜ることに似ている気がする

恋愛・LGBT

ずるくてごめんね

「ずるくてごめんね」 中学生のとき、僕には身体的に同性の恋人がいた。同じ部活の後輩。髪の長い女の子。 僕は特にそのことを隠していなかった。同性愛が隠すべき物であった時代は、少なくとも僕の周囲では、とっくに終わっていたからだ。 最初は「彼女がい…

普通になりたいって、何?

「普通になりたい、って何?」 セクシャルマイノリティや障害のある人と関わっていると、いわゆる「普通」への憧れをよく聞く。 普通の恋愛がしたい。普通に結婚したい。普通に就職したい。普通の人になりたい。 なんだか、すごいなあと思ってしまう。 そん…

破局指輪

高校生のとき、付き合っていた彼氏とペアリングを買った。ショッピングモールの中に入っているロック調のアクセサリーショップで店員さんにサイズを測って貰って選んだ。必要な肉もないほど痩せた彼の指は僕の指より細くて、店員さんは彼にレディースの商品…

ヤンキー少女の正義

「へそピアスは開けないの?」と尋ねたら「開けないよ。殴られると痛いから」と答えた彼女のことを、僕はやっぱり好きだと思った。 彼女とは中学三年生のとき、同じクラスだった。三年生になって最初の日、自己紹介で彼女は「あたし、イジメとか大っ嫌いだか…

カミングアウトの最適解

僕はマイノリティ、少数者と呼ばれる部類の人間だ。精神障害者、発達障害者というマイノリティ。性や恋愛のあり方も少数派でセクシャルマイノリティと呼ばれる。 少数派であることや秘密にしていることを打ち明けることを「カミングアウト」という。僕が関わ…

好きな人に振られようと決めた理由

片思いをしていた。彼はとても言葉が美しくて、可愛らしさの中にセクシーさがある魅力な男性だった。 彼のことが好きだと共通の友人に打ち明けたときのことだ。友人は小さな声で「彼はポリアモリーだよ」と僕に話した。ポリアモリーとは複数人での恋愛関係を…